正攻法の経済予測を勧める
最後の第5章には練習問題まで付いていて少しびっくりしたんですが、第3章と第4章あたりが読みどころなんだと思います。でも、私が大いに同意したのは、著者が何度も書いているように、経済は「素直」であり、「ひっかけ」はない、ということと、同じことの別の表現なんですが、「裏ネタ」を知る必要はなく、公表資料で勝負、という点です。従来から、市場撹乱的な要因を過大評価するのは疑問だと私は考えています。また、著者は債券エコノミストなんですが、一昔前の証券エコノミストなんかは、今で言うところのインサイダー取引スレスレの情報を有り難がるような向きもなくはなかったように記憶しています。マーケット・エコノミストにとっては情報は多いに越したことはないんでしょうが、情報収集の上にフィルタリングをかけてシナリオを描く分析能力が勝負というのが本筋だと私も思います。
とってもいい本なんですが、難点を2点だけ上げると、まず、第5章の練習問題はヤメていただきたい。もちろん、著者の問題ではなく、明らかに編集者の問題だと思いますが、最近の流行りになっているボックス囲みのコラムか何かで処理できなかったものでしょうか。それから、これは著者の問題だと思うんですが、推理小説好きの著者とはいえ、204ページでデニス・ルヘインの『シャッター・アイランド』を勧める力の入れようは、大きな唐突感があります。私は『シャッター・アイランド』を読んでいるからいいんですが、知らない人はもっと大きな唐突感を感じるんではないかと思います。加えて、私のような読んだ人間には、ルヘインなら代表作は映画化もされた『ミスティック・リバー』ではないのか、という気がしないでもありません。お会いする機会があれば質問してみたいです。でも、この2点とも瑣末な点ですから、とってもオススメ出来るいい本だと思います。
引用元:
正攻法の経済予測を勧める園まり
本書は上手なプリゼンテーションを見ているような本である。明快な説明をしてもらって、なんだかよくわかったような気になる。もっとも、つっこまれればいわれていないことが多いのも、プリゼンそっくりである。そのような内容については、同じ著者の、一般投資家に対する啓蒙書に目をやるとよいだろう。
なお、評者は著者の知人であり、本を贈呈されて書評していることをお断りする(バイアスがある)。
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